「精霊流し(しょうろうながし)」は毎年長崎で行われる伝統行事の一つです。長崎の人には恒例行事ですが、県外の方には馴染みがない言葉かもしれません。
よく聞くのはさだまさしさんのお盆にふさわしいしっとりとした楽曲の方かも…。
ただ、本来の精霊流しは楽曲とは真逆の騒がしく賑やかなイベントです!
「精霊流し(せいれいながし)」って呼んでた…
わたしは学生時代に長崎の歴史の魅力に惹かれ長崎によく足を運んでいたため、この行事の神秘性に魅力を感じました。
そこで今回は、長崎精霊流しの概要・期間にアクセスに関することを中心に情報をお届けします!
長崎の「精霊流し」とはそもそもどんな行事なのか
精霊流しというのは長崎県を中心とした夏(盆)の時期に行われる行事のことです。
死者の魂を弔う、つまりは鎮魂のために催されるイベントで盆提灯や造花、果物等を乗せた精霊船(しょうろうぶね)を流し場と呼ばれる場所まで持っていくというものです。
初盆の場合は精霊船に乗せて運びますが、初盆以外の人は藁を束ねて作るコモの中に供物を入れて流し場に持っていく形になっており、少し違いがあります。
この精霊船ですが、弔う…という言葉を見事に裏切り華やかできらびやかです。
精霊船の船首の「みよし」と呼ばれる部分に故人や家紋、町の名前を書き、本体部分は造花や提灯で飾るのが一般的です。その様子は昔の花電車のよう。
また最近ではこだわりが各々出ており、故人の趣味などを前面に出した手作り感溢れるものであったり、ペットの精霊船があったりと「流し場」へ向かう様子を見るのも楽しみです。
大小さまざまなな精霊船がありますが、大きい物は6~8人。あるいはそれ以上で支える必要があるような大型タイプを運ぶ家や企業もあり、迫力満点なんです!
以前は流し場に集めた船を海に流していたのですが、環境問題から現在は禁止。今は流し場で解体する方法を取っています。
また、精霊流しで忘れてはならないのが、爆竹を鳴らしながら船の移動を行うということ。
鎮魂のために行われている行事でありながら、爆竹を鳴らすのは不思議な部分もあるものの、賑やかに送り出すという意味では面白い試みと言えるかもしれません!
例年、県内外から多数の見物客が訪れる長崎県で催されるイベントの中では最大級のものとなっています。
長崎への観光を考えている方は是非、精霊流しの時期に足を運んでみてください!一見の価値ありですよ!
長崎の「精霊流し」期間はいつ?
精霊流しの期間についてですが、基本、8月15日の夕方から行われるのが通例です。
余程の雨でもない限りは雨天決行されるので、中止の心配は少ないかと思います。
時間は前後することもありますが、17時辺りから22時頃までです。
同時間帯は大幅な交通規制が行われるため、県外からお越しの場合は早めに移動しておいた方が得策です。
また、新型コロナの影響でソーシャルディスタンスの風潮もあり、2020は取り組みもあるようですのでチェックが必要です。
長崎の「精霊流し」へのアクセス方法
会場は長崎市ほぼ全域。海沿いの地域が主に行う行事のため、長崎県全土で行われている訳ではありません。
例年80箇所以上の流し場と呼ばれる設置場を設けており、多くの場所で見学することができます。
オススメの場所は、思案橋や県庁坂、大波止辺りが船の出入りが多いので注目してくださいね!
長崎の「精霊流し」の由来は中国にあり!?
精霊流しの由来はいくつかの説が存在しているそうですが、その中で最も有力とされているのが中国の「彩舟流し(さいしゅうながし)」が伝わってきたという説です。
「彩舟流し」とは江戸時代に中国から貿易や通訳のために長崎を訪れていた人たちが亡くなった時にその人たちを弔うために行っていたとされるもの。
中国では爆竹は魔よけの意味があるとされており、長崎で現在も続いている精霊流しに爆竹が使われているのもその影響だとされていますね!
長崎は中国を始めとした諸外国の窓口の一つと言ってもいい歴史を持っています。
多少なりその影響があるのも頷ける部分ではないでしょうか。
楽曲にもなった「精霊流し」
最初にも触れましたが、長崎の精霊流しが有名になった理由の一つが、さだまさしさん作詞作曲の「精霊流し」です。
この楽曲発売と共に知名度が全国区まで上がったとされています。
ただ、同楽曲はしめやかでしんみりとした歌詞だったのに対し、実際の精霊流しが正反対のものであったことから、大きな反響を呼びました。
元々のコンセプトとして船を流す側の気持ちを歌詞にしたということですが、良くも悪くも同イベントを有名にした立役者であることは確かですね。
最後に
霊を送る行事にも関わらず、爆竹を鳴らすという珍しさもあり、例年多くの人が見物に訪れますが、見物の際に用意しておいてほしいのが耳栓!
毎年、1000を超える船がほぼ同時に爆竹を鳴らすため、想像以上の音が鳴り響き、音は想像を絶するうるささ(笑)です。
慣れていない方には結構辛い騒音ですので、近くで見物するなら耳栓は必須ですよ^^
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